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2020年1月29日から全国公開された「ヤクザと家族 The Family」。
綾野剛さん演じる主人公の賢治が、食堂で襲撃を受けた組長を助けたことをきっかけにヤクザの世界に入り、家族同然となった組との関係を、時代を追って描いていく内容です。
今までにないヤクザ映画で涙腺崩壊のヤクザと家族 The Familyのネタバレと感想をお伝えします!
ヤクザと家族ネタバレ!結末は涙腺崩壊!
ヒット中の、ヤクザと家族を観てきました。一人の人間の悲しくて切ない、生き方を描いた映画で最後は涙腺が崩壊でとっても良い映画でした。
早速、映画の感想とネタバレをお伝えします!
綾野剛 舘ひろし 尾野真千子 北村有起哉 市原隼人 磯村勇斗 菅田俊 康すおん 二ノ宮隆太郎 駿河太郎 岩松了 豊原功補 寺島しのぶ 監督・脚本・藤井道人 音楽・岩代太郎 主題歌・millenium parade「FAMILIA」 (敬称略) |
山本賢治(演:綾野剛) 柴咲組の若頭補佐。チンピラ時代にヤクザに殺されそうになったところを柴咲組組長に救われ、極道の世界へ足を踏み入れる。ヤクザの世界で〝男〟をあげていくが、移り変わる社会の中で「組織=ファミリー」と「愛する家族」の間で揺れ動く。 柴咲博(演:舘ひろし) 広域指定暴力団の3次団体・柴咲組の組長。昔堅気の男気と人情にあふれるヤクザ。とある襲撃で山本に命を救われたことから目をかけている。流れ行く時の中で、組員を守るために頭を張り続けている。 工藤由香(演:尾野真千子) 山本の恋人 中村努(演:北村有起哉) 柴咲組の若頭 細野竜太(演:市原隼人) 賢治の舎弟 木村愛子(演:寺島しのぶ) 柴咲組元若頭の妻 木村翼(演:磯村勇斗) 賢治に憧れる愛子の息子 大迫和彦(演:岩松了) 静岡県警組織犯罪対策本部の刑事 加藤雅敏(演:豊原功補) 侠葉会の若頭、組長、後に会長 竹田誠(演:菅田俊) 柴咲組の舎弟頭 豊島徹也(演:康すおん) 柴咲組の舎弟 大原幸平(演:二ノ宮隆太郎) 賢治の舎弟 川山礼二(演:駿河太郎) 侠葉会の若頭 |
水の中、差し込む月の光に手を差し伸べながらゆっくりと沈んでいく山本賢治(綾野剛)。
舞台は静岡県の海沿いの工業地帯の町。
ヘルメットなしの金髪の男がスクーターに乗っている。19歳の賢治は父親の葬儀会場へ向かっていた。
賢治の母は幼いころに他界、父・正春は手を出した覚せい剤の過剰摂取で命を落としました。父の葬儀に顔を出した賢治は、顔見知りでもある刑事の大迫和彦(岩松了)に、あとで顔を貸せと言われる。父親が覚せい剤を使用していたので、賢治も疑いをかけられたのだ。「景気悪くなるとシャブ打つ人間」と父親のことを悪く言われ、賢治は大迫に食ってかかる。
尿検査後に警察署の前で仲間の細野竜太(市原隼人)、大原幸平(二宮隆太郎)が待っていた。3人はバイクで夜の街を走り抜けます。その時路上に停車していた車を見つけた賢治は、ドライバーに話しかける。ドライバーは覚せい剤の売人。賢治は買うように見せかけて売人を殴り、バッグを奪って逃亡しました。奪った金は2人に渡すものの覚せい剤は海に捨ててしまう。
賢治たちは、奪った金で不良の自分たちにも母親のように接してくれる木村愛子(寺島しのぶ)の店で焼肉を食べに行った。その店に、柴咲組の組長・柴咲博(舘ひろし)たちがやってくる。愛子の夫は故人ですが生前は柴咲組の元若頭。2年前に柴咲組と敵対する侠葉会との抗争で命を落としていた。そんなことがあったため柴咲はまだ幼い息子・翼を育てる愛子のことを気にかけているのだ。
細野や大原は柴咲を見て、貫禄やその存在感に驚いていたが、賢治だけは憮然と睨みつけ、無言のまま食事を続けていた。
そんな店内に拳銃を持ったヒットマンが現れ柴咲に発泡。店内は騒然となるも賢治はヒットマンの頭を思い切り殴って倒した。柴咲は賢治に助けられた。混乱のなか警察が来たので賢治たちは逃げていく。
翌日、家で寝ている賢治のところへ柴咲の部下・中村努が来て賢治を事務所に連れていきます。柴咲は賢治に昨晩の礼を言い、両親や仕事のことを優しく尋ねる。行き先もなく親もいないと知った柴咲は組に誘うが、賢治は「父親に覚せい剤を売りつけたのはヤクザだから」と柴咲の申し出を断わる。柴咲は自分の組では覚せい剤を扱わないと話すも、勧誘は強くは勧めなかった。ただ名刺を賢治に渡しておいた。
ある日、街をぶらぶら歩いていた賢治は、背後から殴られて拉致される。賢治が目覚めると仲間の細野と大原も拉致されており、3人は組員に暴行を受ける。賢治が海に捨てた覚せい剤は、侠葉会の組員が売っていたものだったのだ。
侠葉会の若頭補佐・川山礼二(駿河太郎)は、賢治が覚せい剤を海に捨てたと知ると激高。川山は3人を香港行きの船に乗せて、臓器を売ろうと考える。3人を乗船させる直前に身元が特定されるとまずいと財布と携帯を取り上げるが、賢治の財布から柴咲の名刺を見つけた川山は驚き、若頭・加藤雅敏(豊原功補)に報告する。
柴咲組と侠葉会は2年前抗争をしていたが、今は手打ちにして休戦状態。賢治に手を出して組同士の抗争を避けたいと考えた加藤は、柴咲組に連絡を入れる。賢治たちは解放され、柴咲組のクルマに乗せられていた。
事務所で賢治を迎えた柴咲の懐の深さに感銘を受け涙を流す賢治。
後日、賢治は柴咲と親子の盃を交わし、柴咲組の組員になる。
6年が経ち賢治は25歳になった。細野と大原も柴咲組の組員となっており、賢治たちはヤクザの世界で名をあげていた。背中に彫られた刺青もすっかり板についていた。
ある日、賢治たちは愛子の店へ顔を出していた時、トラブルの連絡を受け柴咲組の息のかかるキャバクラ『C’est La Vie』へ向かう。因縁をつけていたのはあの侠葉会の川山でした。
川山は会計にケチをつけ、街の駅北口の再開発の件についても脅しをかけます。そして柴咲のことを「時代遅れの老害オヤジ」と罵る。腹に据えかねた賢治は川山をビール瓶で殴ります。加藤が組長になっていた侠葉会との緊張状態は続いていました。抗争の火種を川山は作り上げてしまう。
川山が帰った後、その時に手のけがの手当てをしてくれたホステスの女性・工藤由香に、賢治はひとめぼれをする。早速キャバクラの店のママに言い、由香を部屋に呼び出す。由香と関係を持とうとした賢治だが、由香には全力で抵抗される。しかし由香の気の強さを賢治はさらに気に入っていく。別れ際、電話番号を聞くと、由香は教えてくれた。
賢治が川山に暴力を振るったことにイチャモンをつけてきた侠葉会の加藤に柴咲は会って話をつけようと侠葉会に出向くが、加藤は納得しない。交渉決裂し柴咲は加藤に啖呵を切りました。
一方、賢治は由香に連絡を入れて会い、口説こうとしますがうまくいかない。由香は学生で、学費を稼ぐために店で働いていることを話す。賢治は由香も家族の縁が薄いことを知る。なかなか距離の縮まらない2人だが由香も賢治を意識し始めていた。
柴咲と一緒に車に乗っていた賢治は、恋人ができたかと聞かれ由香のことを打ち明けようとした。その時、一台のバイクが並走してくる。侠葉会のヒットマンが襲ってきたのだ。賢治はとっさに柴咲に覆いかぶさり守るものの、運転手をしていた大原は射殺されてしまい、賢治も重傷を負い入院することになった。
賢治の見舞いに来た柴咲は、かたきを討ちたいと燃える賢治に、この件は警察に任せることになったと話す。納得できない賢治は病院を抜け出し細野に連絡を取る。川山の居場所を見つけ、拳銃を細野から受け取った賢治は川山へ復讐しにいく。
ところが賢治よりも少し早く、柴咲組の若頭・中村(北村有起哉)が川山をナイフで刺した。中村は賢治に「オヤジを頼むぞ」と言った。しかし、柴咲組のことを考えると中村の方が重要だと考えた賢治は、「アニキがオヤジを支えないと」と告げ、自分が罪をかぶると言うと中村を逃がし、自分がナイフを握って何度も何度も川山を刺したのだ。
現場から逃げた賢治は由香の部屋へ行き、関係を持つ。朝、由香が目覚めると賢治は300万円を置いて去っていた。
その後、賢治は刑事の大迫に逮捕され、殺人犯として懲役刑を言い渡される。
14年の刑期を終えて、賢治は出所した。この14年の変化は大きなものだった。暴対法の影響で締め付けは厳しくなり、ヤクザの世界はその存続も危うい状態になっていたのだ。
出所した賢治は柴咲組へ戻ったが、14年でたくさんの組員が辞めていた。残っていたのは古参の6人だけだった。
柴咲と顔を合わせた賢治は、柴咲が老いて弱々しくなっているのを見て驚く。柴咲は3年前にガンにかかっており、昨年には転移も見つかっていたのだ。
賢治は愛子の店で、細野と再会する。細野は柴咲組を抜けて、今は産廃処理の仕事をしていた。現在は妻子を持っていると話す。賢治が服役中、年々暴力団への締め付けが強化されるなか、一般人と交通事故を起こして修理代を請求しただけで、警察に逮捕されたことで細野はうんざりしていた。それで組を抜けたと話した。
その時、細野は5年ルールというものを賢治に教える。組から抜けてヤクザでなくなっても、5年間は銀行口座、生命保険、家のローンも組めないのだ。携帯電話すら買えないヤクザは、人間扱いしてもらえないと細野は賢治に話した。
賢治は由香の消息を尋ねると、細野は調べてみると答える。
別れ際、奢ろうとする賢治を細野は強く制止する。反社会勢力の賢治に食事をごちそうしてもらうことは、反社会勢力から金を受け取ることを意味する。それを固辞する細野の姿に、賢治はいかにヤクザが肩身の狭い存在になったかを痛感する。
愛子の息子・翼(磯村勇斗)は成長し、22歳の立派な青年となっていた。翼は柴咲組のシノギを手伝いながら、夜の街を仕切る立場になっていた。翼は賢治を慕っており、この14年で大きく変わった街を案内し、賢治は翼を見ながら新世代の若者の感性を感じ取る。
夜の街で目立つ翼を見た侠葉会の加藤は、翼を侠葉会に誘うが、翼は断り軽んじる発言をしたので、加藤は翼の父親の木村肇が、組同士の抗争で殺されたことを話す。それを聞いた翼は、自分の父を殺した相手のことを探り始める。
細野から連絡が入り、賢治は役所に勤める由香と再会する。賢治は由香と復縁したいと持ちかけるが、由香には拒まれる。由香は賢治に、14歳の娘・彩の存在を明かす。娘の存在を知った賢治は、組を抜けて妻子と暮らすことを考え始める。
柴咲にも勧められた賢治は、除籍届けを組に出した。柴咲組を抜けて、普通の人として生活することにしたのだ。細野と同じ産廃処理の仕事を始めた。
賢治は由香の部屋に住み始めて、彩とも顔を合わせる。14年の空白はあるものの、少しずつ距離は縮まっていった。
ところが、幸せな時間は突如壊れる。産廃処理の同僚が細野と賢治たちの過去を知り、記念撮影をする。それを軽い気持ちで「元ヤクザ」としてSNSにアップしたのだ。同僚はおおごとになると思っていなかったが、余波は想像以上に広がっていく。
細野と賢治は職場を追われる。由香は役場から辞めてくれと告げられ、住んでいた社宅も追われる。娘の彩も学校で「ヤクザの娘」だと同級生に知られてしまい、転校を余儀なくされてしまう。
賢治は由香に謝罪するが、由香は「なんで私に会いに来たの? あんたが来るまでは全部順調だった。あんたが来なければよかったのに!」と責めたてられ、修復は無理だと賢治は感じとり由香のもとを去った。 賢治は愛子と翼のところへ行った。同じ頃、細野も妻子に去られて悲しみに暮れていた。
賢治に翼は自分の父を殺した相手が分かったと告げる。父の復讐を考えている翼に、賢治は「愛子さん(母親)を大事にしろ」と声をかける。
そんななか、柴咲は病状が悪化して入院していた。危篤状態の柴咲を見舞った賢治は、柴咲の手を握って「俺の父親はオヤジしかいませんから」と声をかける。「家族、大事にな」と最後まで賢治の行く末を心配しながら、独身の柴咲は亡くなる。
一方、加藤が父親を殺したことを知った翼は、賢治に止められていたにも関わらず復讐に向かう。金属バットを手に加藤と刑事の大迫が会食する中華料理店へ乗り込む翼。しかしすでにふたりが殺害された現場を目撃する。それは翼の手を汚すまいとする、賢治の仕業だった。賢治がふたりを殺害していたのだ。
波止場でタバコを吸いながら黄昏ている賢治。そこへ何者かが賢治を刺した。振り返った賢治が見たのは、かつての仲間・細野だった。細野は賢治の腹にナイフを刺しながら「あんたさえ戻ってこなければ、畜生!」と叫ぶ。賢治に仕事を紹介したことがきっかけで細野も職を失い、妻子から去られていたからだった。
賢治は細野を抱きしめて「ごめんな」と小さな声で謝ると、自分から海に落ちていった。差し込む月の光に手を差し伸べ、目を細めながらゆっくりと沈んでいく賢治。
後日、賢治が刺された場所に翼が花束を置きタバコを供えていた。
場を去ろうとした翼の前に花束を抱えてやってきた賢治の娘、彩がやってくる。彩は翼に「あんたヤクザ?」と質問する。翼が否定すると長い沈黙の後、彩は賢治がどんな人物だったかと聞いてきた。
感極まった翼は泣き笑いの表情を浮かべ、彩に「少し、話そうか」と声をかけるのだった。
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藤井道人という監督とは?
ここではヤクザと家族 The Familyを監督した藤井道人監督の情報をお伝えします。
1986年8月14日生まれ。東京都出身で日本大学芸術学部映画学科脚本コース卒業されています。大学在学中から脚本や監督をはじめ、様々な映像作品を演出されています。複数の短編映画を監督した後、伊坂幸太郎原作の映画『オー!ファーザー』(2013)で長編デビューしてます。
そして一躍注目を浴びたのはなんといっても『新聞記者』(2019)ではないでしょうか。
同作は第43回日本アカデミー賞で、
- 最優秀作品賞
- 最優秀主演男優賞(松坂桃李)
- 最優秀主演女優賞(シム・ウンギョン)
- 優秀監督賞(藤井道人)
- 優秀脚本賞(詩森ろば、高石明彦、藤井道人)
- 優秀編集賞(古川達馬)
なんと、6冠を受賞しました。
同映画は他の映画祭でも数々の受賞を果たしました。
藤井監督はインタビューでヤクザと家族 The Familyの制作動機をこう答えています。
「子供の頃から興味があったんです。僕自身、育ったのが新宿や中野で、当たり前にヤクザの人たちが存在している環境でした。語弊を恐れずに言えば、彼らがカッコよく見える時期もあったと思います。そういう人たちの影が年々消えていき、暴対法(1992年施行の暴力団対策法)によってさらに弱体化する。そんな“状況”にシンパシーをおぼえたのは事実ですね。
今まで隆盛を誇っていたものが消えていくのは、ヤクザに限らず、僕ら映画人にも当てはまると感じたのです。映画界は利便性を求めてフィルムからデジタルに移行しましたが、今でもデジタルにはフィルムを超えられないものもある。システム重視で縮小化される世界に、どこか共感してしまうんです」
過去になっていくものへの哀愁ーー。
「街では古い建物が壊されてキレイになっていくけれど、そこに住んでいた人はどうなったのか。正しいことって、何なのだろう」
と、コメントしています。
ヤクザと家族 The Familyみんなの感想と評価まとめ
筆者の感想
ヤクザと家族 The Familyの結末は一言で言い表してしまえば『崩壊』です。母体がヤクザの組ですから、ある意味当然だろ、と考えてはしまいますが、そこにしか居場所がなかった人たちにとってはただただ残酷な世界です。
しかし、最後に磯村勇斗さん演じる翼と小宮山莉渚さん演じる彩が、賢治が亡くなった防波堤で会い、涙する場面があります。
〝形〟としての家族はなくなり、本人もいなくなってしまいましたが、〝思い出〟としての家族は残ったことは、せめてもの救いなのではと感じさせてくれます。
ヤクザと家族 The Familyはヤクザを題材にしていますし、暴力描写も過激です。PG12指定ですから間口も決して広いものではありません。ただ時代の変遷にともない、次第に居場所をなくしてしまうヤクザの悲哀を、綾野剛さんが全身で表現していました。また
北村有起哉さん演じる中村のジレンマや、時代を象徴するかのような磯村勇斗さん演じる翼も見どころではないでしょうか。
ヤクザと家族 The Familyのおすすめ度は高いです。
映画『ヤクザと家族 The Family』一言で言うと!
昔はヤクザが主役の映画を観に行くと上映後ににわかで肩を風切ってあるく人(男性)がたくさんいました。ヤクザ、アウトローが〝カッコいいもの〟だったんですね。でも今作を観た後に肩で風切って歩く人はいないのではないでしょうか?
ヤクザと家族 The Familyは全体的に重厚で人生の悲哀で満ち満ちた映画です。それ故に見応え十分です。こんな時期だからこそ観に行くべき映画だと感じました。